テーオーケインズ重賞5度目V JBCクラシック 【盛岡】

霧雨降りしきる盛岡の夜に砂の王が帰ってきた。広く長い向正面の半ばから、テーオーケインズと松山が強気に発進。5頭ほども外を回っても、既にG1級2勝の王者だけ脚いろが違って見えた。直線半ばで逃げるクラウンプライドをとらえると、楽々抜け出す2馬身半。松山はゴールとともに右手を握りしめ、流す相棒の左うなじを2度さすった。
「強い競馬だったと思います。行く気になればもう少し前でと思いましたが、前半はリズムを大切に。向正面で手応えもよかったので、動かしても最後まで持ってくれると思いました」と松山。帝王賞は好位伸びあぐねた4着に終わっただけに、馬の強さをあらためて示すリベンジの勝利にほっとした様子だ。
この結果にもっと胸をなで下ろしていたのは高柳大師。「前走のこともあったのでホッとしています。外枠で、馬群を見ながらと思ってはいましたが、外々を回ったらと心配していました。見ている方はハラハラですよ。攻め馬通りならここからというところを、攻め馬通りしっかり伸びてくれた。安心しています」。横綱相撲で勝ちきったことに、陣営の自信も深まるはずだ。
当初通りの絵図ならチャンピオンズCへ。「今回もきっちり仕上げたイメージではないです。まだ良くなると思う」とトレーナー。年明けからは大一番で不本意な結果を強いられていた王者が、暮れの中京も連勝で連覇なら、昨年12月に競馬ファンに印象づけた「ダート界は国内1強」の構図を、もう一度描ける。(若原隆宏)